我1,200kmをかく走行せり(内海太祐 2003.8 記)

0. 出走前まで- 期待 - 1. 疾走 2. 失速 3.回復 4. 大集団
5. 迷子I 6. 夜間走行 7. 補給不足 8. 楽走 9. 闇-疾走III
10. 迷子II - 冷気 11. 尻痛 12. 集団 - 疾走III 13. 老人と自転車

7. BREST - CARHAIX PLOUGUER (補給不足)
▲折返しのカレで池田さん(右)から他の日本人参加者の情報を聞く内海さん。
BRESTを出るとちょうど明るくなりかけで夜の冷気が昼の暑気へと移り変わるのが手にとるように感じられる.何だかすっかり別の日になったようで結構元気に坂を登る.そういえばここまで坂に苦しんだという感じはあまり無い.最高点への坂もどこだったのかよくわからなかった.鈍感なんだろうか.

さて,走りはじめてしばらくすると何だかお腹がすいてくる.ふと考えると BRESTでは寝る前のコーヒー以外何もとっていないことに気付く.しまった,と思ったが後の祭.補給できそうなところは見渡す限りどこにもない.ボトルも一本ちょっとしかない.とりあえず温かくなってきたところでウィンドブレーカを脱ぎ,持っていた補給食を食べる.走りながらも含めて合計でパワーバーを2個,ジェルを2つ,スポーツバーを2本を少しづつ食べる.計算すると 1250kcalくらいだからたぶん次までは何とかなるだろうと思っていたが,体に行き渡りはじめるまではややハンガーノックに近い状態になって来たのでペースを落としながら走る.水もそれほど無いので無駄遣いはできない.

しばらくして比較的大きな坂を登り下りしていると,反対側から山崎さんが「内海さーん」と声をかけてくれる.このころから再び元気が出てきてようやく補給食の効果が出てきたようだ.あとは特に何事もなく淡々と進む.この時間帯,BRESTに向かう人達は結構いたが,BRESTを出てくる人は少なくほとんど単独走行だった.やはり単独走行は記憶に残りにくい.

CARHAIX PLOUGUER 付近になったところで集団を捕まえる.ハンガーノック気味になっていたときに抜かしていった集団なのでようやく元に戻ったというところだろうか.CARHAIX PLOUGUER は結構ごちゃごちゃした街で車も多い.走行していると突然先行していた車がとまったのでブレーキをかけたあとゆっくり車の左側に出ようとしたら対向の車もやってきた.日本的感覚でいうと十分余裕があったのだが,後ろからかなり年のオジサンにえらく怒られてしまった.後ろから来る人のことも考えてちゃんとコールしろということらしい.確かにその通りだ.ちょっとシュンとしてそのオジサンを先頭にしてコントロールに向かう.判断力も落ちてきている.今後は市街を走る場合は経験者のあとにつこうと決める.

コントロールに着くと私を叱ったオジサンはコントロールのボランティアと顔見知りのようだ.何やら話しているがわからない.私はチェックをした後,ちょっと悲しい顔をしていたかも知れないのだが,他の参加者から「大丈夫かい? いっぱい食べな」と言われて,ちょっと元気が出る.実際ここでは結構いろいろと取りかなりの朝食となる.ボトルにも水をなみなみとついで一安心だ.幸いなことに食欲は一度も衰えない.

さて,一人で食事を取っていると池田さんが私を発見してくれてしばらく談笑する.吉田さんがリタイヤしたこと,マヤさんと澤田さんは別々に走っていることなどを聞いた.ここには結構日本人もいたようだ.齋藤さんもいたようなのだが,私は食べるのに夢中で申し訳ないのだが食べながら話を聞いた.

そろそろ出ようと思ったところで泉さんと遭遇.それほど離れずに来ているようだから,復活してくれたのだろう.昨日の様子からかなり遅れてしまうのではと危惧したが,やはり直前に1,200kmをやっているのが効いているのだろう.不屈の精神で走り続けているようだ.この調子ならまたどこかで一緒になるかも知れないな,と思いながらCARHAIX PLOUGUERを後にする.

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