我1,200kmをかく走行せり(内海太祐 2003.8 記)
|
6. CARHAIX PLOUGUER - BREST (夜間走行) | |
しばらくすると何人かが我々を抜いていくが,ここはペースを乱さず進むことにする.泉さんはかなり眠そうで,たまに話しかけるが,返事が返って来ないことがある.このへんがいいタイミングかと思い,電池を換えることにする.しばらく走っていくと先ほど我々をすごい勢いで抜いていった人達が公園のようなところで休んでいる.我々はそのまま進むが,ここから結構いい感じでペースが上がりはじめる. 再び列車が来ているので一緒に走っていた泉さんに「結構いいペースですね.乗りましょうか?」と言うと,しばらく沈黙があった後,英語で「僕は日本語わからないよ.でも君の友達は下で休んでいるよ」と言うのでふとみると,それは泉さんではなく外国人なのでした.泉さんもLOUDEACでRMのジャージに着替えててしまっているとこういうこともあるんですね.しかし,私の喋っている言葉が日本語ってわかるとは,ちょっと驚きました. しばらくペースを落として走っていると泉さんが追いついてくる.かなり眠気がきつそうで,話しかけても無言であったり,ライトが左右に揺れているのでちょっと危険だな,と思ってなんとなく話しかける.実際,薄情なことなのだが,そろそろBRESTに着く時間が気になり出していた.しかし泉さんも休むことに決めたらしく「少し道ばたで寝ていきます.」と言った.ブルベカードを見るとシークレットの枠が2つあったため,この区間にもまだシークレットがあるのだろうと思っていた私は「それじゃぁ,シークレットで待っていますから,気をつけて」と言って少しギアをかけて走りはじめる. しかし,このへんまで来るとほとんどすぐに森を抜けて,開けた場所に出る.一人で飛ばしはじめると何人かのフランス人とスペイン人の集団を捕まえるたのでそれに乗ることにする.この集団にのってしばらく走っているとより速い集団が来て,我々の乗っていた集団が壊れる.地形からみてもあと少しで BRESTなので,この速い集団に乗ることにして,ついでなのでしばらく引くことにする.やがて地形が登りにかかり,インナーにかけた瞬間にギアがはずれた.アウターにかけて直そうと思ったが,うまく行かず結局直らず,集団に置いていかれてしまう. # あとで帰国してから見るとインナーワイヤーのラインがずれていました. PBP前に自転車屋にオーバーホールだしたのですが,やはり自分で細かく確 認しなくてはダメですね. さて,チェーンはそれほど時間をかけずになおすことができたので,再び気を取りなおして登ると再度集団に追いつくことができた.下りも速いがBREST付近では街灯があるのでそれほど恐くはない.最後にBRESTのコントロール前の真っ直ぐな坂で,突然スペイン人が軽いギアで高回転で回しながら集団から飛び出す.CPがどこかわからない私は「なんでここで?」と思ったが,とりあえず坂で引き離されるのもシャクなので着いていく.するとそのスペイン人はさらにスピードを上げる… これを繰り返して最後の坂を30km/hを越えて登っていると突然右手にコントロールが現われる.スペイン人は勢いあまって真っ直ぐ進みそうになるが,気が付いて急に右に曲がる.私もそれについて右折.何故か登りゴールのレースのようなCP到着となってしまった. さて,早速チェックを済まし,外に出て石丸さんを探す.LOUDEACで聞いた限りわりとわかりやすいところだということだったので見つかるのではないかと思っていたが,人は出ていないし,車はすごい数だ.テントの近くだと聞いたような気がしたのでばらく外を歩いて後ろの体育館のようなところや,入口付近のそれらしい車を覗き込んだりノボリを探したりしたが,真っ暗な中不審者に思われそうな気がしたので20分くらいブラブラしてからあきらめて中に入り掲示板を探す.中に入るるとボランティアの人もほとんどいない.おじさんが「欲しいものは?」突然と片言の英語で聞いてくるのでちょっと考えてから「コーヒー」と答えると指さしで方向をさすので見ると確かにコーヒーを売っている. コーヒーを頼みながら掲示板の在処を考えたが,ここで探して見つからないといとめげそうだし,人に聞くことはできそうもない.電話も考えたがしばらく考えてから疲れてしまい,「致命傷になるものは渡していないし,もういいか,石丸さんも寝てるんだろうな」と思ってコーヒーをのみ干し,シャワー室を探してシャワーを浴び,寝床を探す.ちょうど5時半くらいだったので7時に起してもらうように寝床を管理するおじさんに頼んで寝ることにする.1時間半は睡眠のサイクルとしては丁度良いのでここでちゃんと寝ることを選択した. あっという間に眠りにつき,肩を叩かれると7時になる.当初考えていた60時間にはあと27,8時間.もしかしたら何とかなるかも,と考えながら急いで折り返しのスタートを切る. |