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オダックス埼玉
6. 2003年日本人参加者の困惑不安は尽きず活発だった意見交換
当時は、ブルベ参加者のためのメーリングリストがあったほか、PBP参加者向け連絡のためのメールが頻繁にやりとりされていた。その両方を利用して参加者は積極的に意見を出し、情報提供していた。今でこそ、そんなに神経質にならなくてもと思えるが、その頃は教えてくれる人はおらず、情報は他国のサイトから得る程度だったので、自分たちで考えるしかなかったのだと思う。

LEDは正式なフロントライトとして認められない

PBPのレギュレーション第3条のライトに関する規定では、LEDは緊急用として認めるが正式なフロントライトにはならないとあった。当時はCATEYEからLEDの5灯が出たばかりで、LEDの明るさは格段にアップしていただけにLEDのみで走っていた人たちは多かったのだ。ハロゲンにすれば3〜4時間で電池交換が必要になる。1200km走行するのに電池がいくつ必要か、予備電池は日本から持参するのか、現地で買えるのか、現地購入の場合には価格はいくらか、といった細かいことが話題になった。

ライト本体をアタッチメントにビニールテープでグルグル巻きにして補強した外国人ライダーのバイク。ハブダイナモと併用している。
予備電池は日本から持参した人が多かったのではないか。日本チームが宿泊していたのはサンカンタンから離れたサクレイという小さな街で、現地入りしたのが日曜日のため店はすべてクローズされており、買い出しは別の街に行かなければならなかった。半分の人たちはスーパーで買い物をしたが、残り半分は違う方向に走りだしてしまったためスーパーどころか店らしきものはなかったのだ。サンカンタン市内なら事情はちがっただろうが、万事がこんな感じだったので、日本から持参して良かったと思った。

ライトの予備バブル携帯が義務付けになっていたのにも慌てた。当時は3個の予備バルブが必要だと言われていたが、3個とはレギュレーションには書かれていない。なぜ、3個という数字が出てきたのか今ではよくわからない。ただ、装着しているライトすべての予備バルブが必要と考えれば、テールライトの予備も必要ということになる。そしたら、スペアバルブのあるテールライトはどんなのがあるのか、昔ならいざ知らずそんなもんないでしょう、という具合であった。結局、フロント用ハロゲンライトのバルブを3つ持っていったらOKだった。というより、バルブがどのライトに使われるのかまで細かくチェックはしない。もし、途中でバルブ切れになり、他に予備ライトもなければ、その時点で走行できなくなるだけである。

予備バルブは使用しなかったが、予備ライトは必要だった。走行中にライトの装着部分が破損、ライト本体が飛んだ人は複数いた。国内ブルベでも同じような経験をしている人はいるはず。予備バルブがあってもライトを装着できなければ使用できない。なお、帰国後、メーカーに壊れたものを送ったら新品と取り替えてくれた。

*ライトに関する2007年情報がこちらにあります。

日本とフランスでは交通ルールの違いもある

PBPコースは交通量の少ない道路が多く、ラウンドアバウト(ローターリー)もそれほど神経質にならなくても済んだ。クルマのいない複合ロータリーを大集団で走ったときは爽快であった。フランスの交通法規を日本語に訳してMLに投稿してくれたのは現AJ宇都宮代表だった。その一部を転載する。

Rond Points 「ラウンドアバウト:環状交差路」

環状交差路(円形の交差点)はフランスの道路で遭遇するものの中で最も自転車に優しくないものであろう。フランスの道路設計者はよほど環状交差路が好きなのか、いたる所に設けられている。大きな環状交差路においては、「右方優先」の原則は適用されず、既に交差点に進入している車に優先権がある。このような状況は「vous n'avez pas la priorite 」(貴方には優先権が有りません)または「cedez le passage 」(他者に譲れ)と綴られた道路標識か、3つのカーブした矢印で構成された円の標識で示されている。サイクリストは厳重に注意が必要である。環状交差路に進入したら、(もし最初の出口で出ていくのでないなら)出ていく車に十分なスペースを空けるために、左側に移動する。目的の出口に近づいたら、右手で右折のサインを出し、交差路を出ていくことを後続の車に認識させること。(「CYCLING FRANCE 」Lonely Planet Publications 発行,2001年初版より)

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<補記>環状交差路はフランスでは左回り(半時計回り)で回ります。交差点の中を左から来る車を確認しながら、タイミング良く交差点に入りましょう。環状交差路には大中小さまざまなサイズがありますが、大きな交差路の場合は車線が複数あるので、中に入ったら、上の記述のように円の中心付近の車線に寄ります。外側の車線を走っていると、そのまま次の出口から出されてしまうような構造になっているからです。環状交差路の中で急ブレーキをしたり無理に曲がろうとするのは危険なので、目的の出口で出損ないそうになったら、もう1周するぐらいの気持ちの余裕を持ちましょう。

自転車は基本的に車道の右端を走り、交差点で左折レーン、直進レーン、右折レーンと別れていたら、進路に応じて進路変更する必要があります。だから、より一層手信号が重要になってきますね。日本の二段階右折のようなルールは有りません。これ、結構重要なことと思いますが、先に送信した「フランスの交通法規」で原文にこのルールが書いていなかったのは、諸外国ではこれが一般的なのだからだと思います。

ついでにもう1点、追加します。車道が石畳の区間では、歩道を走っても良いそうです。ただしあくまでも徐行で、歩行者最優先です。(斎藤喜康/2003.7 記)

サプリだけではカバーできないもの

超ロングを走ることで体にでる影響についても、参加者自身がさまざまな方向から意見を出していた。そのひとつを転載する。

ブルベと電解質

最近のサプリメントを見ると大抵アミノ酸や炭水化物,糖質,ビタミンの話に片寄っていると思います.でももともとポカリスェットの産まれたきた背景を考えても電解質の不足は実は結構忘れられていると思います.大抵のサプリメントには確かにナトリウムなどの電解質は含まれていますがわずかです.ナトリウムを例にして考えてみました.

今見てみるとアミノサプリの袋には一袋 Na が0.76mgで入っていないに等しいです.パワーバー見ても一本94mgのようです.「食品成分表'90」によれば「普通」の人で食塩は 2,3 g=2,000 - 3,000mg/d ayは取っているようです. Naに直すと約1571mgです.夏には発汗は冬よりずっと多いですし,必要量はおおよそ 800mg.しかも我々はただでさえ一日中走ります.一時的にたぶん数倍ナトリウムをとっても罰はあたらんような気がします.

また,カリウムもそれに伴って必要になるようです.おそらくはそれだけではなく,Ca なども必要なのででしょう.費用所要量2-3gからもし単純に比例すれば18gのナトリウム= (4 5gのNaClに相当する) をとっても良さそうです.

トータルの摂取で僕の食べた物では大まかにほとんどの電解質系は足りていないようです.普通のスポーツでは長くても2時間どんなに長くても12,3時間で終わるものだから実は生命活動という意味では主を忘れて,枝葉末節の話をしているのかも知れません.(最近の食事していればナトリウムに困ることは無さそうですし,一般的には考える必要のない話題になっているのかも知れないのですが)。

なおナトリウムが欠乏したときに現れる症状として次のようなものが挙げられています.
1. 消化液(胃酸)が減少⇒食欲不振 2. 神経過敏 3. 成長阻害 4. 不整脈 5. 腰痛

ポカリスウェットにはナトリウムは49mg/100 ml含まれているようですから、500ml飲めば2,3gは取れそうで,普通の人はN a+に関してはこれで十分なのかも知れません.

いずれにせよ最近見られるアミノ酸や炭水化物系のサプリメント系だけでどうにかなるのはおそらく1-2日の範囲でしょう.それ以上やるとパフォーマンスと健康に不安がありそうに思います.もちろんそれ以外の様々な栄養素まで含めて考えなくてはまとまったことは言えません.少しずつ調べてみようとは思いますが,調べると人間の体は奥が深くてちょっとやそっと調べてどうにかなるような代物ではないようです.個体差も大きいし.結局はバランスなんでしょうけどね.

う〜ん…調べれば調べるほど分からなくなるが,サプリメント系では足りていないのは確かなような気がする.かといって食べ過ぎれば眠くなったり,内蔵に負担がかかったり…難しいですね.

低血糖に電解質不足…なんかイライラしそうですね.そうなってたらごめんなさい.今からサポートその他の人には謝っておきます.

こんな意味でもおそらく600km以上走っていない人は600kmでは想像できない苦痛が待っていることと思います.わたしはそれにぞっとしながら,そしてわくわくしながらPBP を待っています.(内海太祐 2003.8.3記)

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