みんなが初めてだったフレッシュ埼玉

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DNS1チーム、悪天候でやむなくリタイヤしたのは2チーム、9チームが完走・認定された。
途中リタイヤしてゴールした者1名、リタイヤ後集合場所にチームの仲間を出迎えに来た者1名。
終了後は39名で懇親会、フレッシュを語り尽くした。

「何となくおもしろそう」で始まったフレッシュ埼玉

▲ゴール後の集合場所、24時間おつかれさまでした
フレッシュは今年初めて3月にAJ宇都宮、4月にオダックス埼玉が開催しました。すでに2003PBP終了後からフレッシュを走りたいという声はあったのですが、ランドヌール5000取得の必須条件にも関わらず、これまで日本では開催されませんでした。埼玉では、「何となくおもしろそうだからやろう」ということになり、昨年開催申請したときは日程を出しただけ、「24時間で360km以上をチームで走ればいい」くらいしか考えてませんでした。

ところが、いざやろうとすると、ACPのフレッシュに関する記述はシンプルだけに不明な点も多く、どのように運営していいのかイメージがさっぱりつかめない。フレッシュ担当の泉さんを中心に思いつくまま質問を並べたところ、AJ宇都宮の齋藤さんがアメリカ、カナダ、オーストラリアの詳細な実施方法を調べてくれたのです。齋藤さん自身のアドバイスも含め、それらの情報をひとつずつ泉さんと検討。で、ようやくわかったのは、チーム・なにあそのレポートにもあるように、BRM以上にランドネ、つまり自分たちですべてを組み立てていくツーリングだということ。もちろん、ただのツーリングではなく24時間、チームライド、できる限り長い距離を走る、22時間から2時間で25km以上走行などいくつかのルール付きです。でも、ランドネを楽しむなら、他国のように細かいマニュアル化したルールなど作らず、ACPの決めたシンプルなルールのみでやりたいと希望しました。メンバー編成、コース作りはもちろんのこと、自己責任に加えてフレッシュで重要になるのは時間の管理です。それらすべてを求められるのがフレッシュという考えで埼玉は実施しました。

▲平泉チームが食べた牛タン屋、食べたかった!

▲コインランドリー探したり、雨でも快適走行完走テクニック身につけてます。

▲日光で遭遇したチームなにあそ、夜の8時くらい

▲なにあそ見送るスタッフチーム近藤さん

▲赤城IC近くK70、白線上の小さなライトの数々はチーム赤城

▲深夜24時近く、R254疾走するみのりA、西吉井付近です

▲見送るはすたっふぅ〜のいずみちゃん

▲富岡のラーメン屋で寝ていたエキップヴェールも闇夜に消えていきました

▲暴風に苦労したKANAGAWA-Bに夜明けがきました

▲提出レシートを揃えるのも走者の仕事になりました

▲集合後は任意参加の懇親会、ひとりひとりが24時間を振り返りました

▲話は尽きず、、、

▲たくさん走って、風呂、お腹いっぱいになれば、ランドヌールどこでも寝ます

▲最後に残ったのはこのふたり。みなさま、おつかれさまでした。

担当・泉さんは全コース把握した

BRM400終了後の説明会では、22時間、24時間の許容時間を尋ねられたが、これはACPの回答にもあるようにジャストだ。もちろん、誤差はあり得るが、どこもまでの誤差を認めるかでなく、誤差はあくまでも誤差。その結果、多くのチームはまるでゲーム感覚でジャストのレシートを持ってきた。複数のチームが同じコンビニをゴール地点として利用したこともあり、各チームが伝えた情報がコンビニの協力につながったようだ。

担当の泉さんの作業はすごかった。今回12チーム10コースのエントリーがあったが、別のチームが一緒に走ってはいけないというルールがある。集合場所の川口に近づけば、当然コースは同じようなルートになる。信号も多く、離れて走るのは難しくなるため、各チームが重ならないよう時間と場所のアドバイスしたのだ。各チームには必要最小限の間違い、訂正しかださなかったが、実際にはよくあれだけ全コースを把握したものだとびっくりするほど泉さんは細かくチェックしていた。コース作らないし、参加チームに全部やってもらうフレッシュはラクだと思ったのは大間違いだった。泉さん、お疲れ様でした。

予定を変更したのは2チーム

結局、当初の予定を変更したのはエキップヴェールとKANAGAWA-Bの2チームのみ。エキップヴェールはリアディレーラーが使用できなくなり、応急処置のチェーン直結で300km近く走行したものの、その後の峠越えはムリと判断、峠をカットしたルートに変更した。規定の360km以上、しかも予定距離のマイナス20%以内で済むうえ、コース変更に伴う22時間PCも別のコンビニを利用して、最後の2時間で33km走り規定の25km以上をクリアした。コース変更をしなければ、全員がゴールして認定を受けるのは不可能だったはずで、的確な判断だったが、ルールと道路状況を知らなければできないことだった。もっとも、エキップヴェールは埼玉チームであり、フレッシュ担当の泉さんがいるのだから当然だ。

暴風で他チームがリタイヤするなか、生き残ったKANAGAWA-Bは疲労による居眠り走行のリスクを防ぐために、22時間地点を手前に変更した。野田スポーツ公園大時計の前で時間ジャストに全員が並んだ写真をもってきた。よくあんなにぴったりの場所を見つけたものだと感心した。内心では、参加チームに証明方法を任せて良かったと思った。主催者といっても、ブルベの場合には走る場の提供とルール厳守の確認そしてACPの認定作業をするだけであり、同じサイクリストでしかない。たかだか数名の埼玉メンバーが思いつくことはしれてるし、参加チーム自身が考えた方がいいアイデアもでてきて当たり前だと思うのだ。

これがブルベだ

ちなみに、リタイヤしたKANAGAWA-Aメンバーの加藤さんは認定は受けられないが最後まで走って完走した。他チームから「加藤さんがKANAGAWA-Bと一緒に走ったのは違反ではないか」との質問があった。これは、加藤さんからリタイヤの連絡を受けた際に、私がBと一緒に走るよう言ったのである。Aはすでにリタイヤしてチームは消滅しており、加藤さんが後ろについて走ったとしても、Bのメンバー構成から考えてBを助けることにはならず問題なしと判断したこともあるが、それよりチームメイトがリタイヤしてしまい、認定なしにも関わらずあれだけの暴風の中で最後まで走るという気持ちを大切にしたかったのがホンネ。強い意志はあっても、悪天候下でひとりで走りきるのは並大抵ではないのはサイクリストならだれでも想像できる。ましてや、仲間同士助け合うチームライドのフレッシュなんだから、すでに認定関係ないブルベ仲間と一緒にゴールに戻ってきてもいいじゃないかと思う。ただ、違反の指摘をしてくれた人はフレッシュのルールをよく知っているわけで、指摘自体は嬉しかったのである。

また、集合場所でスタッフはそれぞれのコンビニレーシートを受け取ってチェックする。埼玉ではフレッシュに限らずBRMでもレシート裏に出走番号を書いてチェック漏れがあったときのために取っておくが、フレッシュはチーム名と名前を記入することにしていた。スタッフがその作業をするつもりだったが、エキップみのりチームから自分で書けばいいとの提案があり、実に効率的で作業がスムーズに進んだ。参加者はたいへんだったろうけど、私たちが考えもつかないようなことを申し出てくれたことは「これがブルベだ」と嬉しかった。

課題、チャレンジャーはいなかった

一つ残念だったのは、かなりのチームがムダに時間調整したこと。はじめてだからしかたないが、延ばそうと思えばできたのにチャレンジャーはいなかった。もっとも、計画なしで距離を延ばすのはむすかしい。360km走れば確かに認定は受けられる。しかし、できるだけ長い距離を走るフレッシュの参加者はチャンジャーであるべきだ。峠が多ければ距離が延びなくても24時間走り続けることにかわりないからそれでもしかたない。そうでなければ長い距離に拘るのがフレッシュだ。距離を長くすれば到達できない不安はあるし、天候次第で走れる距離はかなりかわる。だからこそ、フレッシュは申請距離に満たなくても360km以上、申請のブラスマイナス20%以内であれば認定される。いわば保険のかかったチャレンジができるわけで、ACPはさすがによく考えているなと思った。

ただ、集合時間の設定にも問題があった。もう少し遅い時間にすれば、仮に申請距離に満たなくても規定の距離をクリア後に、電車で集合場所まで移動できるし、いったん24時間でゴールしてから自走で集合場所にくることもできたが、今回はその余裕がないことも距離を延ばせなかった原因かもしれない。さいたま市内をとおってゴールしたチームは信号が多く最後の2時間はギリギリだったが、コース設定の問題で距離を延ばせない理由にはならない。

走ってもいないのに勝手なことばかりいうなと怒られそうだが、走らなかったからこそいえるのだ。2時間以上休憩禁止も走り続けて距離を延ばせということだ。

クルマで1100km

今回、クルマで1100km走って各チームが走るのを見た。DNSの1チームを除いても11チーム、コースはばらばら、山形、岩手、宮城、新潟、長野、群馬、山梨、茨城、栃木、千葉、埼玉、神奈川と広範囲にわたったルートでスタート時間も異なるのに、全チームに会えるのか半信半疑ながら、ノーテンキな性格なんでやってなれないことはない、何よりクルマチームもフレッシュに参加するからにはチャレンジャーであるべき。もちろんひとりではできない、フレッシュらしくチームを組んだ。快くメンバーになってくれた近藤慶子さんと倉林いずみさんがいなければ不可能だった。徹夜明けの私に変わって運転してくれたいずみちゃん、道路地図の必要なページに付箋はりまくった近藤さん、ありがとうございました。まさに適材適所、得意なことを分担しあって1100km走ったという感じ。携帯メール得意ないずみちゃんは速報流すと同時に、時間表示されない速報から各チームの投稿時間を的確に読み取り、それをもらさず近藤さんがメモしてまとめ、「赤城は何時にどこにいたっけ」と聞けば即座に返事が返ってくるチームワークの良さでした。作戦会議しつつ移動を続けてみんなと遭遇したときには、どのチームもきれいに隊列を組んで走っており感激だった。睡眠時間ほとんどなしのハードスケジュールをこなしてくれたふたりのおかげだ。

各チームとの遭遇状況

*11チーム出走、2チームリタイヤ、9チーム中8チームと遭遇、チーム・ボナペティには会えなかった。

チーム 時間 チーム距離 場所
1 平泉 19/13:00 87kmくらい 宮城県塩竃付近市道
2 仙台いただきカルテット 19/17:40 131km 福島県郡山PC2
3 チームなにあそ 19/20:05 168.3km 栃木県日光の神橋
4 チーム赤城 19/22:19 196km 群馬県赤城K70入る直前のR17
5 エキップみのりA 19/23:50 299kmくらい 群馬県西吉井付近R254
6 エキップヴェール 20/00:00 270kmくらい 群馬県富岡付近のラーメン屋
7 エキップみのりB 20/00:50 278kmくらい 群馬県下仁田トンネル近くR254
8 KANAGAWA-B 20/05:07 310kmくらい 茨城県つくば、島名十字路付近K123

フレッシュはおもしろい

実際にやってみると、細かい点での疑問はいくつかあった。それらは今後AJを通してACPに確認したい。BRMも日本に導入された頃には思い違いがあり、その都度修正されてきました。フレッシュも同様で、今後必要に応じて確認、修正されるでしょう。今回思ったのは0からやることがいかに大変かということ。改めてBRMを日本に導入した人たちには感謝したい。そして、AJ宇都宮の齋藤さんとACP連絡担当の川野さんのふたりがいなければ、フレッシュ埼玉は方向性を見いだせずに暗礁に乗り上げていたことでしょう。ありがとうございました。

フレッシュ埼玉開催日に他クラブではBRMをやっていた。ヨーロッパでは近隣国が協力して持ち回りでフレッシュを開催するところもあるそうだ。各地から同じ場所目指して走り、親睦を深めることもフレッシュの意義なのだと思う。人口密度の高い関東の自転車人口が圧倒的に多いという日本独特な事情があって各地からギャザリングというのは難しい面もある。だとしても、BRMはクラブ単独で開催日を決めても問題ないが、少なくともフレッシュに関してはその目的から考えれば開催日を他クラブのBRMと重ならない配慮が必要だと思った。

それにしても、フレッシュはおもしろい。ラクなコース設定したつもりが天候で難コースに変身。ブルベではよくあることだが、BRMなら条件はみんな同じ、フレッシュは自分たちが選んだルートがたまたま悪天候、他チームは青空が出ているのだ。BRMより難しい面も多々ある。コース設定はいろいろな要素を考慮しなければならない。スタート時間も同じだ。今後参加される方は各チームのレポートを参考にしてください。仙台いただきカルテットと平泉は通行止めを係の「自己責任なら」と通してもらったが、200人も走るようなBRMではそんなこともできない。ルールを熟知した上で、いかに自分たちで考えるかでフレッシュはおもしろくなる。全員、いい旅をしたのだと思う。やっぱりクルマより自転車で参加したい。

オダックス埼玉/白木  緑 (2008.6.1)